平成29年度 北海道循環器病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 13 19 104 260 680 947 796 215

表について:
平成29年度に当院を退院された患者さんの年齢を10歳刻みの年齢階級別に集計しました。
年齢は入院日の満年齢としています。
(*患者数が10名未満の年齢区分は-(ハイフン)としています。)

解説:
当院は、心臓・循環器血管系疾患の専門病院のため、心機能の低下や血流の低下などが現れる60歳代以降の患者さんの割合が
多い傾向にあります。
年代別に多い順では、70~79歳の方が最も多く全体の31%を占め、次いで80~89歳の方が26%、60~69歳の方が22%と
なっており、60歳以降の方が全体の約8割を占めます。
疾患別では、狭心症・慢性虚血性心疾患、心不全、頻脈性不整脈の順で多い入院となります。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180XX97XXXX 下肢静脈瘤:血管内焼灼術 69名 2.2日 3.2日 0% 66.2歳
050080XX01010X 心臓弁膜症:弁形成術または弁置換術(中心静脈注射or人工呼吸あり) 47名 28.7日 23.9日 17.0% 71.2歳
050080XX0111XX 心臓弁膜症:弁形成術または弁置換術(心臓カテーテル検査+中心静脈注射or人工呼吸あり) 29名 30.7日 38.0日 20.7% 74.8歳
050080XX9910XX 心臓弁膜症:心臓カテーテル検査あり 13名 4.4日 6.0日 7.7% 73.9歳
050080XX0112XX 心臓弁膜症:弁形成術または弁置換術(心臓カテーテル検査+持続緩徐式血液濾過or人工腎臓あり) 10名 47.5日 56.0日 20.0% 72.5歳
表について:
患者数の多いDPC(診断群分類)を診療科別に集計し、上位5つを掲載しています。
用語についてはこちらをご参照ください。
 
解説:
心臓血管外科で最も多い入院は下肢静脈瘤でした。下肢静脈瘤の入院治療では、主に血管内焼灼術(レーザー治療)を行い
ます。レーザー治療は手術の傷跡がほとんど残らず、局所麻酔で行うため、手術当日から歩くことができ、手術翌日には退院となります。
当院では2日間の入院を基本としており、全国平均より短い入院日数となっております。
退院後は外来で経過を診るため、転院率は0%です。
2番~5番目は全て心臓弁膜症となり、治療や検査の内容により分かれていますが、平成29年度に心臓血管外科に心臓弁膜症で
入院された患者さんは99名に上ります。
心臓弁膜症とは、心臓の弁(血液の逆流を防ぐドアの役割)がうまく働かなくなった状態をいいます。加齢とともに弁の働きは衰えていき、
弁の「開き」が悪くなる狭窄症や、弁の「閉まり」が悪くなる閉鎖不全症などがあります。治療方法は、自分の弁を修復する「弁形成術」、
弁自体を交換する「弁置換術」があります。弁の状態や患者さんの年齢・希望などを考慮し、治療方法が決定されます。
治療後、心機能のリハビリや他疾患の治療などが必要な方は、転院先で治療を継続される場合があります。
 
▶当院の心臓血管外科についてはこちらからご覧いただけます。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050XX99100X 狭心症、慢性虚血性心疾患 :心臓カテーテル検査 419名 3.2日 3.0日 0.2% 70.8歳
050050XX02000X 狭心症、慢性虚血性心疾患 :心臓カテーテル治療 244名 5.2日 4.6日 1.6% 70.8歳
050070XX01X0XX 頻脈性不整脈:経皮的カテーテル心筋焼灼術 230名 6.1日 5.3日 0% 66.2歳
050130XX99020X 心不全:シンチグラム 148名 19.6日 24.8日 16.9% 82.5歳
050050XX99200X 狭心症、慢性虚血性心疾患:シンチグラム 126名 3.2日 3.2日 1.6% 71.1歳
表について:
患者数の多いDPC(診断群分類)を診療科別に集計し、上位5つを掲載しています。
用語についてはこちらをご参照ください。
 
解説:
循環器内科で最も多い入院は心臓カテーテルの検査入院でした。
心臓カテーテル検査入院は、治療を検討する目的の場合と、治療後の心臓の血管の状態を確認する目的の場合があります。
2番目に多い心臓カテーテルの治療入院は、検査入院の結果、心臓の血管に狭窄(狭くなっている)箇所があり、拡張が必要な
方に対して行います。治療はバルーン(風船)やステント(網目状の小さな金属製の筒)などで狭窄箇所を広げることで、血液の
流れる量を増やします。
3番目に多い頻脈性不整脈とは、心房細動や心房粗動、上室(性)頻拍などで、動悸症状があります。
経皮的カテーテル心筋焼灼術は「カテーテルアブレーション治療」と呼ばれ、心臓内部の不整脈の原因の異常な電気回路にカテーテル
の先端をおいて通電し、その回路を断ち切ります。回路を断つことで、不整脈の根本的な治療を行うことができます。
4番目に多い心不全は、心臓のポンプ機能(全身に血液を送り出す機能)の低下により、うっ血性心不全などを発症します。
症状はむくみや肺に水が溜まることで起こる息切れなどがあり、心不全の原因となる疾患としては、高血圧症や狭心症、弁膜症が考え
られます。シンチグラム検査は、5番目の狭心症、慢性虚血性心疾患にも用いられ、心筋へ流れる血液の量や心筋の機能を画像化し、
判断することができます。
 
▶当院の循環器内科についてはこちらからご覧いただけます。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌
大腸癌
乳癌
肺癌
肝癌
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
解説:
*患者数が10名未満のため-(ハイフン)としています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 38名 11.9日 81.6歳
重症 10名 13.7日 83.1歳
超重症 - - -
不明 - - -
表について:
成人市中肺炎(20歳以上の成人が普段の生活の中でかかる肺炎)で入院された患者さんを対象に集計しています。
重症度は重症度分類システム(A-DROP)を用いて集計し、点数に応じて軽症~超重症の4段階で表しています。
(重症度分類システム(A-DROP)については、こちらをご参照ください。)
*患者数が10名未満の分類は-(ハイフン)としています。
肺炎の中でもインフルエンザなどのウイルスによる肺炎や、食べ物などが誤って気管に入ることで起こる誤嚥性肺炎、気管支炎などは
集計対象外となっています。
 
解説:
成人市中肺炎で入院された方のうち、70歳以上の方が86%を占めます。
患者数は中等症に分類される方が最も多く、2週間程度の入院治療を要します。
重症度が上がるにつれ患者さんの平均年齢も高くなる傾向があります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 - - - -
その他 - - - -
解説:
*患者数が10名未満のため-(ハイフン)としています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 69名 0.1日 1.1日 0% 66.2歳
K5553 弁置換術(3弁のもの) 25名 5.6日 29.4日 28.0% 71.2歳
K5943 不整脈手術(メイズ手術) 25名 2.9日 24.1日 12.0% 72.5歳
K5551 弁置換術(1弁のもの) 21名 5.9日 26.3日 19.0% 76.7歳
K5552 弁置換術(2弁のもの) 21名 6.9日 29.5日 19.0% 71.2歳
表について:
患者数の多い手術を診療科別に集計し、上位5つを掲載しています。
 
解説:
心臓血管外科で最も多かった下肢静脈瘤血管内焼灼術は、レーザーを使った治療で、静脈を切除するストリッピング手術より痛みや
出血が少ない治療法です。患者さんの負担も少なく、回復も早いため、手術後の入院期間も短くなっています。
2番目・4番目・5番目の弁置換術は、弁の「開き」が悪くなる狭窄症や、弁の「閉まり」が悪くなる閉鎖不全症に対し、弁自体を交換
する治療です。交換する弁には「機械弁」と「生体弁」の2種類があります。機械弁は耐久性はよいが血栓(血の塊)ができやすいため、
血栓を予防する薬を飲み続ける必要があります。生体弁はウシやブタの弁から作られた弁で、血栓はできにくい(原則的に薬の服用は
不要)が、機械弁に比べ耐久性が低く、手術から15年前後で再度交換する手術が必要となります。
上の表では、それぞれ交換する弁の個数(1~3箇所)によって分けられています。
3番目に多かった不整脈手術(メイズ手術)は、さまざまな不整脈に対する根治療法として用いられます。主に心房細動や心室頻拍に
対し行われ、心臓内部の不整脈の原因の異常な電気回路に遮断するために、心筋を一時的に切り、再度縫い合わせます。これにより、
異常な電気回路が断ち切られ、規則正しい脈に回復することができます。手術は僧帽弁や大動脈弁の弁膜症や冠動脈疾患など、
心疾患に伴う心房細動に対して同時手術として行われるのが良い適応とされています。当院で実施された不整脈手術(メイズ手術)
のうち、84%は弁置換・形成術と同時手術で行われ、残りの16%は冠動脈バイパス術や大動脈瘤切除術など、いずれもほかの外科
手術と同時手術で行われています。
 
▶詳細な診療(治療)実績はこちらからご覧いただけます。
心臓血管手術実績
開心術 手術実績
下肢静脈瘤治療実績
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 206名 2.5日 3.0日 1.9% 70.8歳
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 204名 2.1日 3.2日 0% 66.3歳
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 87名 2.8日 5.8日 1.1% 74.2歳
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合) 59名 3.3日 8.2日 8.5% 77.7歳
K597-2 ペースメーカー交換術 50名 1.1日 4.9日 2.0% 81.0歳
表について:
患者数の多い手術を診療科別に集計し、上位5つを掲載しています。
 
解説:
循環器内科で最も多かった経皮的冠動脈ステント留置術は、心臓の血管の狭窄(狭くなっている)箇所に対し、小さなバルーン
(風船)に取り付けたステント(網目状の小さな金属製の筒)を、血管の中で膨らませ、血流を確保します。
2番目に多かった経皮的カテーテル心筋焼灼術は「カテーテルアブレーション治療」と呼ばれ、心臓内部の不整脈の原因の異常な電気
回路にカテーテルの先端をおいて通電し、その回路を断ち切ります。回路を断つことで、心房細動や心房粗動、上室(性)頻拍など
の頻脈性不整脈の根本的な治療を行うことができます。
3番目に多かった四肢の血管拡張術・血栓除去術は、当院では主に下肢(太ももやふくらはぎ)の閉塞性動脈硬化症の方に行って
います。閉塞性動脈硬化症では、血管が狭くなったりつまることで十分な血流が保てなくなり、歩行時に足のしびれなどが
現れます。四肢の血管拡張術・血栓除去術では、カテーテルを血管の狭窄(狭くなっている)箇所に通し、バルーン(風船)をふくら
ませて血管を広げ、血流を確保します。
4番目に多かったペースメーカー移植術は、洞不全症候群や房室ブロックなどの徐脈性不整脈の方に対して行われます。
当院での入院期間は7日を基本としていますが、失神などで緊急入院となった場合、心臓の検査などを行った後、ペースメーカーの移植
を行うため、入院期間が平均より長くなるケースもあります。
5番目に多かったペースメーカー交換術は、ペースメーカーを移植後、ペースメーカーの電池の寿命などで交換が必要な場合に行われます。
 
▶詳細な診療(治療)実績はこちらからご覧いただけます。
冠動脈インターベンション実績
カテーテルアブレーション実績
ペースメーカー・ICD・CRT実績
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 10 0.3%
異なる - -
表について:
播種性血管内凝固、敗血症、真菌症、手術・処置等の合併症の患者数と発生率を集計しています。
傷病名が入院契機(入院のきっかけとなった病名)と「同一」または「異なる」に分けて集計しています。
「同一」は、入院した際の疾患と、入院中に主となった疾患が同一の場合が当てはまります。
「異なる」は、入院した際の疾患と、異なる疾患を主として治療した場合が当てはまります。
  例)狭心症の手術目的で入院し、手術後、感染症を起こし、感染症の治療を主として行った。
傷病名についてはこちらをご参照ください。
*患者数が10名未満は-(ハイフン)としています。
 
解説:
「手術・処置等の合併症」に分類された疾患には、手術創部の離開(傷口が開いてしまうこと)や創部からの感染などがあります。
手術創部の離開や感染は、手術後病院を退院し、通常の生活を過ごしている過程で、傷口の治りが遅い場合などに、傷口が開いて
しまったり、感染してしまった際に、薬や場合によっては手術で感染の治療を行います。
更新履歴
H30.9.28
平成29年度 病院指標を公開しました